【部員ブログ】ファクトフルネス
姉の誕生日。家族一人一人が一冊の本をプレゼントする日。
私はハンス・ロスリングの「ファクトフルネス」を選んだ。
事実に基づく世界の見方、ファクトフルネス。
本能を抑え、本当の世界の姿を知る難しさや喜びが綴られたこの本を読み、私は高3の総体を思い出した。
背番号10のキャプテンとして、練習メニューの作成、試合の分析、選手の評価やメンバー決めなど、サッカー部のためにできることはすべてやった。母校で尊ばれていた「独立自主」の体現者だったと思う。
そして総体。ベンチメンバーや応援含め、チーム一丸となって戦った、と思っていた。
試合終わり、一人の不満顔をした後輩を見るまでは。写真の中で、一人メガホンを置くその彼を見るまでは。
後々聞いた話だが、彼は海外サッカーやその戦術に興味があり、私がサッカー部の練習すべてを決めている体制に、ずっと不満を持っていたようである。私はその日が来るまで彼の不満に気づけなかった。
「FACT FULNESS」に書かれた本能(思い込み)の一つに「パターン化本能」というものがある。「ひとつの例がすべてに当てはまる」という思い込みだ。
先輩が後輩を育て、キャプテンがチームを成長させる。本能というだけあって、こうしたパターンや伝統は私やチームに“しっかりと”根付いていた。だからこそ、彼の不満は顕在化しづらく、私は彼の興味に気づき伸ばすことができなかった。
謙虚さと好奇心。
自分の知識が限られていることを認める謙虚さ。自分の考えに合わない事実を大切にし、その裏にある意味を理解しようと努める好奇心。
様々な本能を抑えるのに共通して重要であり、難しいことでもある。
先輩・後輩やキャプテンの役割という自分の思い込みに気づく謙虚さを持ち、彼の不満の意味を理解しようとする好奇心が私にあれば、当時のサッカー部は、部員それぞれが興味を活かすことのできる組織になっていたと思う。
もうすぐ4回生だ。
サッカー部に限ったことではないが、「独立自主」から「ファクトフルネス」の体現者へと成長したい。
備考
著者ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランドの「FACT FULNESS」は、私の拙い解釈を通してではなく、原文でじっくり読むべき本です。思い込みに気づかされるだけでなく、自然と自分に向き合うことができる不思議でおもしろい本ですので、ぜひ一度ご覧ください。
3回生プレイヤー 橋本晋太郎