【KIU BLOG】道導
ここ数年、自分の生活は充実しているといっていいだろう。
毎日、サッカー漬けの日々を送りながら、仲間と様々な出来事を経験して、忘れられないことがたくさん増えた。
当然、昔の記憶は少しずつ薄れていってるのかもしれない。
けれども、この言葉だけは、強く、しつこく、記憶の中に残っている。
「あなたは教科書で覚えたことしかできない。」
いつだったか、誰だったか、もう忘れてしまった。
だが、この言葉を決して今まで忘れることはなかった。
全くその通りだと思う。
幼い頃、学校のテストはほとんど満点だった気がする。
だって、教科書を覚えるだけで済んだから。
けれど、学校以外でのテストはからっきしだった。
見たこともない問題がたくさん出てきて、何も手をつけれなかった。
テスト本番で突然、解法を思いついたりすることもなかった。
その癖は、歳を重ねても、変わることはなかった。
変わることが無いんだと気づき始めた時から、だったら、見たこともない問題が無くなるくらい教科書や問題集を読みこんでしまえばいいんだと思い、ただひたすらに覚えた。
結果的に、それは自分をここまで導いてくれた。
サッカーもそうだった。
小さい頃、公園で友達とボールを蹴っていた時、友達が編み出したリフティングの技を必死に見て真似しようとしていた。
だけど、自分では、何も技は思いつかなかった。
小中高とサッカーをしていく中で、いつしか、自分にしか思いつかないプレーとか、一瞬の閃きとか、ある種の天才的なプレーができるようになるんだと信じていた。
けれど、ボールをどれだけ触っても、体が咄嗟に動いたり、新たなアイデアがパッと浮かんだりすることは無く、反復練習で身についたプレーが出来るだけだった。
だから、友達のプレーを、先輩や後輩のプレーを、目標とした選手のプレーを、ひたすら、見て、自分の体で試して、何度も練習する、しかなかった。
それでも、ほんの少しずつ他の人のプレーを吸収し、自分は上達していると実感した。
思えば、自分にとって教科書も仲間も自分を高みへと導いてくれる「道導」だった。
それが無ければ、自分はこんなところまで来ることは出来なかったし、充実した日々を送ることは決して出来なかった。
残り1年となった大学サッカー。
悔いの無いように。
恩を返せるように。
多くの「道導」との出会いに期待して。
上へ向かって歩んでいこう。
時々、後ろを振り返りながら。
3回生プレイヤー 山口健太