【KIU BLOG】引っ越し
今年4月、3回生になるのに合わせて引越しをした。理由は、簡潔にいうと、前下宿先から大学までの距離が遠いと感じていたことである。自転車で10分、爆走すれば6分の距離を遠いと言い張る自分に、実家から通う部員たちは呆れていただろう。現在は、法学部の教室にもグラウンドにも自転車で1分程度という好立地で下宿することができ、大変ありがたい。
引越しは同じ左京区内ではあったし、もちろん通うキャンパスもグラウンドもそのままだったが、自分の生活を一変させた。使っていたスーパーやコンビニ、薬局は違う店舗になった。近所にあるラーメン屋さんが大分少なくなったので、ラーメンを食べる機会もほとんどなくなった。代わりに近くの定食屋さんを開拓することが多くなったが、結構面白い。新居生活は目新しいことばかりで日々充実している。
しかし、かれこれ半年経つにつれて、引越しによる生活の新鮮さというものはどんどん薄れてきた。行きつけのコンビニ店員の方々の顔は大体覚えた。付近の定食屋さんも行き尽くしそうである。4月のうちは、なんとか部屋を清潔に保とうと意気込んで、1日1回掃除していたものの、慣れというものは怖く、最近は4日に1回ほどになった。頻度は今後ますます減少の一途を辿るのだろうか。
さて、引越しといえば、僕は新シーズン開始と同時に、ポジションをセンターフォワードからウイングに転向した。自分から申し出たのではなく、ヘッドコーチや首脳陣の方々に勧められてという形ではあるが。今まで一度も経験したことのないポジションとはいえ、同じフォワードであるにもかかわらず、当初は未知のことばかりだった。ポジショニングやプレスのかけ方など一から学ぶことが多々あり、今の自分に必要なものを吸収しようと必死だった。プレミアリーグの試合を観る際も、今まで気にしたこともなかったが、ウイングの選手がどう動いているか注目するようになった。毎日新たな課題が見つかり、それと向き合う日々の練習は、なかなか楽しいものだった。
先ほど述べた引越しの話と重ねると、現在、やはりウイング生活なるものを始めてからの新鮮さはなくなったと言っていい。プレーすればするほど、自分に足りない部分が露呈する。ドリブルや細かいボールタッチ、運動量、挙げれば切がない。一朝一夕には習得できない要素を練習しては失敗の繰り返し。慣れてくるにつれて、目の前の障壁を避け、何となくポジションをこなすだけの逃げたプレーも増えてきた。このままでは、自宅の掃除と同様、転向直後は確かにあったはずの、実りある楽しい練習時間は失われ続けることになる。
別に日々の新鮮さだけを原動力にサッカーを小学生の頃から続けてきたわけではない。毎日大好きなサッカーをする、サッカーについて考えることができる今の環境はもちろん楽しい。しかし、毎日の練習で常に何かを得て成長しようと挑戦し続ける、いわゆる引越し直後の気持ちを忘れてはならない。さもなければ、サッカーを楽しむだけで何の成果も得られぬ日々が徒に過ぎるだけである。
もしかしたら今後も引越しの機会があるかもしれない。いずれにせよ、新居生活開始時に劣らない、日々挑戦するという気概を持ち続け、引退まで残り1年程度、悔いが残らないよう全力でサッカーを楽しんで突っ走ろう。