【KIU BLOG】答え合わせ
小さい頃から言われたことをやってきただけだった。小学生の頃は怒られるのが嫌という理由だけで塾の宿題をやっていたし、中・高も面倒見の良い学校ということもあって課題をして提出するだけでえらいと思っていた。定期テストはほとんど平均だったし、たまにある模試は見たことない問題ばっかだから全くできなかった。受験期に入るまで自主的に勉強することをしてこなかった。
そんな甘い考えは大学では通用しない。自分から情報を集めに行かなくても誰かが教えてくれていたそれまでの環境と違って、自分でお知らせを開いて情報を集めないと、いつのまにかいろんなものの締切がすぎていった。社会の入り口に立った感覚だった。
これはサッカーでも一緒だった。何も考えずにボールを蹴っていた今までと同じだと、大学サッカーでは通用しない。練習について行くために、試合に出るために、試合に勝つために、何をすれば良いのか考えるようになった。自分なりに自主練してみたり、何を食べたらいいのか気を遣ってみたり、家で風呂上がりにストレッチをしてみたり。こういうふうに変われたのは京大サッカー部に入ったからに他ならない。環境のおかげで一つ成長できたと思えた。
その成長に伴って、さらに自分の中で変わったことがある。人の言葉が記憶に残るようになった。自分で何かを考えるようになれば、自然とそのことに対して自分の中で答えを出すようになる。そうすると、その自分で出した答えが誰かがいつか言っていた言葉と同じだ、と気づくことがある。そりゃ、自分と似たような経験をしてきた人が世の中にはいっぱいいるんだから当然だろう。未熟な存在の自分に気づけることは世の中の大半の人が気づく。でも今までの自分は何か一つの答えを自分で出すということすらやってこなかったのだから、人の言葉が自分にも当てはまり、その言葉が記憶に残るという経験なんてするはずがなかった。自分で考えて出した答えを人の言葉で答え合わせする。そういった経験を大学に入ってからたくさんしたし、特に京大サッカー部にいるからこそできたと思える。時には、自分で出した答えに自信を持てないこともあるが、誰かが同じことを言っていたと思い出すだけで、自分で出した答えを疑わない勇気をもらえる。そうやって、人の言葉が自分にとって関係のないものではないんだとまた一つ発見させられた。
大人になると、自分で考えて、自分で決定して、自分で動かなければならない。少なくとも子供の頃よりは。その中で不安になることはたくさんある。これで合ってるんかな、とか、ほんまにこれは意味のあることなんか、とか。そんな時は、人の言葉で自分の出した答えを答え合わせしてみる。人の言葉の力を借りて、その答えに勇気を持つ。そうすれば、どんなことがあっても一歩ずつ歩みを進めることができると信じている。
ただ、この結論に対してまだ答え合わせできていないというのがまたなんとも言えないところではあるが、いつか誰かがまた自分の背中を押してくれることを願っているし、あわよくば誰かが似たようなことを感じた時はこの言葉で答え合わせしてくれる、ということもちょっとは期待していいかもしれない。
4回生プレイヤー 岡部隼一郎