【部員ブログ】あの感覚
大学に入ってまで部活でサッカーをやる意味はなんだろうか。
「サッカーが楽しいからだ。」というのは勿論そうだ。しかし、これだけでは理由にならない。
「サークルや友達とサッカーを楽しめばよいのでは?」という質問に答えられない。
別に他を犠牲にして四年間毎日決まった時間にきつい練習をするほどサッカーが好きではない。
では、なぜ部活でサッカーをするのか。
その明確な答えに残り一年でようやく気づいた。
自分が1回生の頃、サッカー部に入った理由は「グラウンドが人工芝だから」だとか「別にずっと続けてきたものを辞める理由はないから」などだった。
サッカーを続ける明確な理由があったというより、サッカーを続けない理由がなかったから、というのが大きかったのかもしれない。
入部してから負けず嫌いな自分は自主練もかなりした。
リーグ戦にも結構出場し、充実したサッカー生活を過ごしていた。
しかし、人生は何がおこるかわからない。
進路ややりたいことを色々考慮した結果、学部を変更するために再受験の勉強をすることにした。
1年間休部し、サッカーと無縁の時を過ごした。
無事再受験には成功したが、サッカー部に戻るかどうか気持ちが揺らいでいた。
1回生の時に入部した時の理由である「グラウンドが人工芝」だとか、「高校時代、十分に出来なかった」などの理由は一回生の時に解消されたからだ。
それに加え体重は1回生の時から7kgも痩せ、身体のキレは落ち、1回生の自分を超えられる気がしなかった。
このまま辞めようかなとも思いながら休部期間をダラダラとひきずった。
その期間友達と遊んだり、旅行にいったりもした。
もちろん楽しかったが何か足りなかった。
ある時ふと、京大サッカー部のYouTubeに上がっているハイライトを見た。
リーグ終盤の大阪大学との上位対決で、自分が初アシストするシーンである。
その動画を見て、その時の感覚が蘇ってきた。
「あの感覚」は言葉にするのが難しいが、感情が爆発し、鳥肌がたち、若干寒気がし、身体が軽く感じ、一種のトランス状態のようになる。
やはり、上手く言語化できない。
とにかくあれはやばくてえぐい。
ハイライトを見た時、「あの感覚」が「何か足りない」と思っていたその「何か」であることに気づいた。
もう一度「あの感覚」を味わいたいと思った。
この時2度目の京大サッカー部への入部を決意した。
自分が真剣にサッカーを続ける理由が初めて明確になった瞬間でもあった。
1年半のブランクは想像以上にきつかった。昨シーズンは試合に出るどころか一度もAチームにくい込めなかった。
ただ「あの感覚」はつらいとき自分の原動力になった。
筋トレやランなどきついことをする時は阪大戦のアシストを思い浮かべながらしていた。
「あの感覚」は一瞬だが、自分にとって辛い時を長く支えてくれるほど爆発的のあるものである。
今シーズン、京都選手権での勝利の瞬間や神戸学院大学戦でのゴールなど、「あの感覚」を何度か味わうことができた。
やはり気持ち良い。
今は部活を辞めずに続けてきてよかったと心の底から思っている。
でもまだまだやり足りない。
「あの感覚」をもっと仲間と味わいたい。
チームの目標であるリーグ優勝が決定する瞬間はサッカー人生でもっとも「あの感覚」を強く感じられる瞬間だろう。
その瞬間を味わうため、僕は今日も仲間と練習する。
4回生プレーヤー 大﨑嵩史