【部員ブログ】信は力なり
この世で1番大切なものは信用。信用を得るためには膨大な時間と労力が必要になるが、信用を失うときは一瞬だ。
恐らく小学生のときに、父親から言われたことばだ。
意味がわからなくもなかったが、当時はなんだか大層な事言ってんなぁとしか思わなかった。
そんな自分もそれなりに歳を重ね、それなりの人生経験をしながらその言葉の意味を探ってきた。
特にこの3年間は、サッカー部での活動を中心とした大学生活を送りながら、環境を問わない信用の重要さを強く実感してきた。
退屈な文章になるかもしれないが、自分の感じてきたところをがんばって言語化したい。
京大サッカー部は学生主体で運営されている。
社会的に自立してるとは言えない学生同士で組織を運営していく上で、互いへの信用は必要不可欠だと思う。
部署活動や下回生としての仕事のみならず、京大サッカー部という組織に属している時点で、誰しもが少なからずこの組織に対する役割を持っているし、同時に責任を担っている。
この役割とそれに伴う責任は、あくまで周りからの信用の上に成り立っているものだ。
そして、その土台を成す信用は、思っている以上にもろい。
一度の失態や気の緩みで、全てとまでは言わなくとも部分的に信用は失われていく。
信用を失うと自由を失う。
決まり事で行動を制限されるようになったり、そもそもの可能性を与えられなくなるかもしれない。
そんな互いに信用を欠き、互いに行動を制限し合うような組織では誰も成長できない。
困難なことや称賛されることを達成するのに引けを取らず、組織の一員としての当たり前の振る舞いを粛々と行い続けることにも価値があると、この3年間を過ごしてきて強く感じている。
案の定、変にお堅くて面白くない話になってきたところでサッカーの話をしたい。
チームスポーツの代表と言えるサッカーにおいても、信用の大切さを痛感する。
当然、サッカー中に、あいついっつも貸した金返さんからパス出さんわ、という思考には至りにくいので、ここでの信用というのはあくまで個人のサッカーの能力やサッカーへの取り組みに依存する。
サッカー中も周りの目を気にしてしまう自分は、この3年間、プレー中に感じる周りからの信用にはかなり敏感だった。
自分がボールを持った時に声を張り上げながら走り出してボールを要求してくれる味方に対しては、たとえボールを出せなくて怒鳴り散らされても、信用してもらえてると感じて前を向くことができた。
ボールを持ってもアクションを起こしてくれなくなったり、痺れを切らして前線からボールを受けに下がって来る味方に対しては、あぁ信用されてないんやなと、自分の力不足を心底情けなく感じた。
サッカーというスポーツでは、味方の信用があって初めて、自分のプレーを自由に表現することができるのだと思う。
信用されなければボールは来ないし、ボールを受けてもらえない。
組織の話と同様、自分の行動は制限され、可能性すら与えてもらえない。挙げ句の果てには、その分味方に負担をかけることになる。
もちろんミスの発生するスポーツである以上、組織における話ほど失敗に対するリスクは大きくないかもしれないが、この信用はサッカーの能力はもちろん、普段のサッカーへの向き合い方の地道な積み重ねで築いていくしかない。
一度のミスでもあいつなら取り返すだろう、お前はそんなもんじゃないだろう、という信用を。
では、信用を失うことなく、互いに信用し合うことができればどうなるのか。
人を信用することは、人を疑うことに比べてずっと楽な故、一度信じてしまえば無駄なエネルギーを使う必要がなくなる。
人に信用されれば、自由になる。自分の可能性を遺憾なく発揮できる。与えてもらった自由に付随したその人の信用に応えたいとも思う。
組織としてもチームとしても、互いを信用すれば、無駄に干渉し合うことなく、各々が自分の役割に没頭し、互いの最大限の力を引き出すことができる。
信じることは力になる。
そして何より、最後は自分自身を信じることができるか。誰よりも自分のことを知っている立場として、自分が積み重ねてきた行いを肯定してやれるか、信用できるか。
勝負の場に立ったときに襲いかかって来るであろう不安要素を、最後の最後で取っ払ってくれるのは、味方からの信用と自分自身への信用だと私は思う。
どこまで周りの目を気にするのかと言われるかもしれないが、俺は4回生になった今、このチームの力になりたいと思っているし、なれると思っているし、ならなければいけないと思っている。
ただ、たった1人でチームに力をもたらすほどの能力は自分には明らかにない。
その分、自分の力を発揮するために、このチームの一員として周りから信用してもらい、支えてもらわなければならない。
そのための行いを、苦しいときに周りからも自分からも支えてもらえるような行いを、ピッチ内外で積み重ねていき、最後はみんなの力にもなりたい。
なんだか欲張りな気もしてきたが、やるしかない。
さぁ頑張ろう。笑
4回生プレーヤー 奈佐原寅太郎