【KIU BLOG】常熱
「2-4」
2016年12月、日本で開催されたクラブW杯決勝のスコアであり、私がサッカーの虜となったきっかけの試合のスコアである。日本は茨城県に本拠地を置く鹿島アントラーズがJリーグ王者として、世界に名だたるレアル・マドリードと闘ったこの試合は、事前の下馬評を覆す白熱したものとなった。
当時の私は、日本代表の試合が地上波で放送されていれば観るくらいのいわゆるミーハーであったが、その試合以降、毎週土日にあるJリーグや海外サッカーをテレビで観戦するようになった。現地に行き、ゴール裏で飛び跳ねるようにもなった。色々なスポーツを齧ってきた自分にとって、はじめてこんなにも熱狂できるスポーツが本当の意味で見つかって嬉しかったことを鮮明に覚えている。
大学2年の冬、自分はサッカー部に入部した。「あの試合」から偶然にもちょうど丸7年経った日での入部だった。別の部活を辞めたタイミングで、友人から恐らく冗談半分でスタッフとして誘いを受けた。役職は新設されたアナリスト、いわゆる分析官という。それなりに悩んだが、自分の生活においてしっかりとサッカーに関わることができるラストチャンスで、浪人中、そして大学に入ってからも常に持ち続けていたサッカーに対する情熱を注ぐことができるならと、遅ればせながら入る決断をさせて貰った。
自分の応援するチームが負けるのは嫌である。そして、自分が所属しているチームが負けるのはもっと嫌である。まして、自分が選手ではないというパターンがはじめてであるから、表現、或いは体現しようのないやるせなさに襲われる。スタッフという立場は難しい。「自分がこのチームを勝たせる」というような心持ちが大事だと言われたが、おこがましくて性に合わない。
この悩みに対して自分が出した答えは、この常に持ち続けていた情熱をチームに注ぎ、共に闘うということである。実にありふれた答えではあるが、部員1人1人が紡いできたサッカー人生にリスペクトを持ちながら、勝利に対して貪欲に行動する。アナリストであれば、自試合のパフォーマンス分析や相手校のスカウティング分析、そして試合中のベンチでのリアルタイム分析といった面で貢献する。ただひたすらに、自分自身成長しながら本気でチームに向き合うのである。連敗が続く中で帰り道に入った飯屋で見た仲間の涙が、この思いをより一層強くさせた。
報われないかもしれないところで、それでも懸命に努力する彼らに対して、この常熱でもって少しでも報いたいと思う。
3回生アナリスト 布上陽平