【部員ブログ】コロナ時代の大学サッカーを考える
こんにちは。3回生プレーヤーの酒井雄飛です。
新型コロナウイルスの影響で毎日通っていた農Gを恋しく思う日々が続いています。
「ウイルスとの共存」や「新しい生活様式」への移行を迫られるこの「コロナ時代」。僕自身も、部活停止に加え、特にリクルーティング班長・新歓隊長として請け負っている新入生や高校生に対する勧誘において、打撃をひしひしと感じています。
そうした影響の中、このコロナ時代に大学サッカーが受ける影響について考えずにはいられませんでした。
「コロナが収束すればまた元通りのサッカーができる」と考えている方も多いかもしれませんが、経済や医療や教育その他社会のあらゆる分野で〝数十年で起きるはずだった変化が1, 2年の間に起ころうとしている〟とも言われている中、全ての状況が元通りになることはないでしょう。
大学サッカーもただ現状に流されるのではなく、「新たな大学サッカー」へと移行することが必要とされているように感じます。
実際にどのような影響が出るのでしょうか。
今の日本の状況は、簡単には
「対面での人との接触が減り、
オンライン志向になっている」
と表せると思います。
これにより生じるであろう変化は大きく分けて
・試合会場を訪れる人の数が極端に減る
・新入部員獲得の質と量の確保が困難になる
・オンラインコンテンツの重要性が高まる
この3つが主なものとなるだろうと思います。
まず、「試合会場を訪れる人の数が極端に減る」ことについて。
コロナ時代の「新しい生活様式」のポイントは「ウイルスとの共存」です。ワクチンが普及するまでは人との接触を減らして生活しなければなりません。ワクチンができるのはまだまだ先の話でしょう。
よってしばらくは大会が大幅に縮小されたり無観客試合になったりすると思います。会場を訪れるはずだった保護者、OBOG、ファンその他の人々がほとんど会場に来られなくなります。ベンチ外の部員による応援もしばらくの間は制限されるでしょう。
これはまず選手の士気に関わります。実際自分が引退するまでの1年半の間にもうスタンドが満員になることがないかもしれないと思うと、かなり寂しいです。
ただそれ以上に、大学サッカーに特有のスピード感、緊張感、感情の震えといった、その場でしか味わえないものが提供できなくなってしまいます。
OBの重光勇太朗先輩が一昨年に書いた、「高校に比べ大学サッカーがなぜ盛り上がらないのか」という問いを検証した部員ブログにこんな記述があります。
なぜレベルも高く、実力のある選手が多く所属している大学サッカーが盛り上がらないのでしょうか。(中略)私が考える最も大きな高校と大学の差は、観客が高校の部活の方が自分の高校時代の青春と重ね合わせやすいのではないか、ということです。観客は他の競技であっても高校生が頑張っている姿を見て、自分の高校時代に想いを馳せるのではないでしょうか。つまり、「高校の部活動」という物語を共有しやすいのです。
部員ブログ~大学サッカーはなぜ盛り上がらないのか~ より
もともと共感を得てもらうのが難しい大学サッカーにとって、外部の人に実際に試合を見てもらえないのは大打撃です。
この状況でもし何もしなければ、アフターコロナの時代も大学サッカーは盛り上がらないままでしょう。
続いて「新入部員獲得の質と量の確保が困難になる」ことについて。僕はこれが1番深刻だと思っています。
前と少し被りますが、まずコロナの影響で実際に試合を観てもらえなくなったり、対面で新入生を勧誘したりすることが難しくなりました。
とりわけ一般入試で入学してくる選手を勧誘して獲得するような大学は影響を受けるでしょうし、万が一試合会場でのスカウトが制限されるとスポーツ推薦やAO入試で選手を集める大学も影響を受けると思います。
また、大規模な休業要請の影響で家計が悪化したり、親御さんが職を失ってしまったりした家庭も少なくないと思います。
大学に行くことも、大学でサッカーをすることもお金がかかることです。家計の悪化で志望する大学を諦めたり大学でサッカーをすることを諦める人は必ず出てくるはずでしょう。
ただこれに関しては僕ら学生がああだこうだ議論しても建設的ではありません。
(もしこれを呼んでくれている高校生がいたら、給付型奨学金の条件が緩和されたりしているので、大学を選ぶときはそこまで調べるといいです。情報が足りなければ、各大学の入試課に直接問い合わせてみて下さい。)
いずれにせよ、今までと全く同じ質と量で新入部員を獲得することは難しくなると思います。大学サッカー人口がコロナ禍を境に減るなんてことは避けたいものです。
大学サッカーはプロではないのでお金をかけて大型補強なんてことはできません。スーパールーキーを獲得できるのもほんの一部の大学に限られます。よって新戦力の獲得の効果は、数年のスパンで獲得した新入部員が成長することで現れることがほとんどです。
これは逆に言えば、新入部員が減ることによる影響も数年のスパンで現れると言えます。今踏ん張って将来の戦力を獲得できないチームはこの先徐々に低迷するかもしれません。
もう一つ、大きな変化として「オンラインコンテンツの重要性が高まる」こと。
長引く自粛期間には「zoom飲み」とか「zoom女子会」などで楽しく過ごし「オンラインに対する抵抗が減った」という方も多いのではないでしょうか。
例えば半年前なら「zoomでオンライン講義を開催します」と言っても「zoom?何それ?」「直接じゃないなら…」となる人も多く、それほど人は集まらなかったでしょう。しかし、自粛期間でオンラインで何かをすることに慣れた人が多くなりました。
オンラインツールが一度普及すると今まで繋がれなかった人とかなり簡単に繋がれるようになります。
僕も東京にいるトレーナーさんのトレーニングをzoomで受けています(コロナ前はオフに東京まで新幹線で日帰りで行ってました)し、今までは京大に来てもらえなかった遠方の進学校に、zoomでリクルーティングをできないか模索したりしています。
脱線しましたが、zoomに限らずオンラインで何かを催した時により沢山の人に見てもらえるかもしれず、オンラインで価値を提供できる可能性が広がったということです。スマホやPCが普及した今の時代ならではですね。
ただ、残念ながらこの点では関西の大学は関東の大学に遅れをとっていると言わざるを得ません。
関東では「ユニサカ」という一般社団法人が舵取り役となり高校生を対象として大学サッカーの紹介を行った電子書籍「ユニマガ」や、大人気スマホゲームの「ウイニングイレブン」を用いた架空のカップ戦「StayingEleven2020」を打ち出すなどし、反響を呼んでいます。
京大も4月に東大との定期戦「双青戦」を「ウイニングイレブン」上で行うという企画をやりましたが、まあ「StayingEleven2020」には到底敵いません(笑)。
ウイイレ双青戦 https://youtu.be/wzpj8u2_xaM
僕らくらいの規模のチーム(関西だと2部以下、関東だと都県のリーグくらいでしょうか)だと、保護者の方々やOBOGの方々といった内輪の人に試合をライブ配信するなどして楽しんでもらうことがまずは必要なのかなと思います。
ほんの5年前だとライブ配信なんて考えもしなかった思いますが、こういうことが現実味を帯びてきているのが今の時代で、それをうまく利用していきたいところです。
ただこういうことをやり出すと、既存の体制では選手やマネージャーの仕事のキャパを超えてしまう可能性が高いので、オンライン専門のスタッフを置いたりできるチームは強いのかも、と思ったりもします。わかりませんが。
さて、ここまで色々と書いてきましたが、もちろん実際大学サッカーがこの先どうなるかなんて誰もわかりません。
冒頭で「新たな大学サッカー」なんて書いちゃいましたが、それがどんなものになるかなんて実際わかりません。
しかし僕は、大学サッカーの仲間たちと一緒に「コロナ時代の大学サッカーを考える」ということをやってみたい。
このコロナ時代、感染が収束しても影響は残ってしまっているはずですが、それに流されるのではなく、変化を恐れず行動することが必要だと思います。こんな時だからこそ考えられることを前向きに考え、「新たな大学サッカー」を見出していきたい。
大学でサッカーを何となくやっている人はいないと思います。自分たちの大学サッカーを守り思いっきり楽しむため、また未来の後輩たちに大学サッカーを受け継いでいくため、何が必要かを一緒に考え、行動していきたい。
京大サッカー部も、大学サッカーも、まだまだこれから。コロナなんかに負けたくない。
まずは新歓隊長として今年の新入部員を確保できるよう頑張る所存です。
#春から京大 のみんな、コロナ大変だけど一緒にサッカーやろうぜ。
3回生プレーヤー 酒井雄飛