【部員ブログ】私の武器
この夏、たけびしスタジアムで3年ぶりに行われた双青戦。
4回生にとっては最後の双青戦、
3回生にとっては入部以来待ちに待った初めての双青戦、
2回生はコロナ禍で最後の高校総体が奪われた学年であり、
1回生にいたっては無観客、無声援が当たり前の高校サッカーを経験してきた学年。
この仲間のために、彼らを主役にする舞台を、と突き進む自分の原動力は誰にも負けない「チーム愛」だった。
最後の試合が終わって振り返ったスタンド、目にした光景は鳥肌が立つほどのもので、ここ数か月間の寝食忘れた準備、当日2日間の目の回る忙しさによる疲れを吹き飛ばすには十分すぎるご褒美だった。
きっと一生忘れることができないものだと思う。
10年前、我が家は父の仕事の関係でヨーロッパに住んでいた。
ちょうど香川真司がドルトムントで大活躍していた頃。
今でも忘れられないのはブンデスリーガ2連覇をかけた頂上決戦、バイエルン本拠地のアリエンツアリーナでの景色。
スタジアムの熱狂でも、華麗なプレーでもなく、試合前にピッチコンディションを確認しに出てきた香川選手を見つけた家族が私一人を荷物番として席に残し、すごい勢いで前に走っていった光景。
今でも忘れられない。
弟がサッカーに目覚め始めた頃で、スペインやドイツにしばしサッカーを観に行ったが、私はというと、バルサやらシャルケやら(これも母に聞かないと記憶が曖昧)人々が羨む試合を前に、下を向いてひたすらDSに勤しんでいた。
ユニフォームだけはちゃっかり着ていたけれど。
サッカーに対する熱量が家族の中で一人だけ低いことも自覚していた。
帰国後も、弟が本格的にサッカーを始めたことや地元に名古屋グランパスがあることが影響してサッカーは我が家にとって切り離せない日常だったが、相変わらず私はその熱量から取り残されていた。
ゴール裏で声を枯らし飛んでる弟が理解できなかった。
ただ弟と父が楽しそうに話す戦術やうんちくをこっそり聞いてるうちに、その面白さには気づき始め、好奇心旺盛で負けず嫌いな性格上、サッカーに熱狂するよりも先に、高校で女子サッカー部に入部するという結果になり撃沈する。
(そこから京大サッカー部入部までの話は去年のブログで書いたので省略)
双青戦の日、振り返って見たあの景色の中で、私は子供のころ、ずっと見ていたなつかしい光景を思い出していた。
スタンドには確かに2日間の双青戦に熱狂した人々の顔があり、横を見るとそれに応え、やり切ったプレーヤーの顔があった。
そして、それを見つめる自分自身の中にもいつの間にかしっかりと「サッカーに熱狂する」自分が存在し、そのことも原動力の1つであったのだと自覚した瞬間だった。
サッカーに出会って10年でようやく手に入れたものかもしれない。
引退まで残り1年だ。
私自身はゴールを決めることも相手の攻撃を阻むこともできない。
ただ、知っておいてほしい。
ピッチの外でも同じ気持ちで同じ熱量をもってサッカーに向き合っていることを。
プレー以外でやれることは全てやる覚悟があることを。
「チーム愛」と「熱狂」、目に見えない、自分とは今まで一番無縁だったこの2つを最強の武器に、走り切ろうと思う。
最後にはなりましたが、平素より京大サッカー部を応援してくださっている皆様、温かいご支援本当にありがとうございます。
今後とも、応援よろしくお願いします。
3回生スタッフ 土地さくら