【部員ブログ】クセを大切に
部員ブログ。一年前、時間をかけて、なんとか書き上げた。去年のブログは昔から文章を書くことが苦手な自分にしてはよく書けたと思った反面、来年はこれより良い文章を書かなあかんのかと少しプレッシャーに感じていた。あれから一年が経ち、またこの季節がやってきた。書くことが思い浮かばない。テーマがいくつか浮かんでも、思うように広がらない。きっと去年のものより良いものを書こうとするから筆が重いのだ。なので今回は気を張ることなく、適当に書いていこうと思う。大した内容ではないので、別にここで読むのをやめていただいても構わない。よっぽどの暇人か僕の隠れファンの皆さんにだけ続きを読んでいただきたい。
さて、最近は家で過ごす日々が続いている。私は息抜きによくTVやYouTubeを見るのだが、最近はもっぱら千鳥にハマっている。ロケやスタジオ収録での彼らの絡み、特徴的なフレーズも大好きなのだが、何と言っても漫才が面白い。もちろんネタの内容自体が面白いことは言うまでもないが、彼らの漫才において特徴的なのは「方言」である。彼らはともに岡山県出身であり、漫才の中でも岡山弁を話す (私は岡山県出身ではないので、あれが本当に岡山弁であるかどうかは知らないが)。そこで改めて方言について考えた。
私は京都で生まれ育ち、関西弁を話す。そうは言っても、これまで人生のほとんどを京都で過ごしてきたために、あまり方言を意識することはなかった。しかし、これまで二度、方言を意識した経験がある。それはインドでの生活と大学生活である。まず、インドでの生活について言及する。私は小学生の時インドのニューデリーに住んでいて、現地の日本人学校に通っていた。そこでは関東圏と中部地方の出身の生徒が多数を占め、関西出身の生徒は比較的少数であった。もちろん“公用語”は標準語であった。関西弁を話す私は浮いた存在であったため、よく周りの友達に関西弁をいじられたものだった。しかし、当時の私は関西弁に誇りを持っていたため、関西弁を貫いていた。帰国して京都に戻ってからは同様に方言を意識することのない生活を送っていた。しかし、大学に入学してから再び“異国”の人々と話す機会が増えた。大学が京都にあるために関西出身の学生が多いのだが、地方出身の学生も多く、大学生活では様々な方言が飛び交う。大学生活ではいくつか新しい発見があった。一番印象的だったのは兵庫の「~しとう」という表現である。京都と大阪の関西弁にそれほど大きな違いはなく兵庫の関西弁も同じ感じだろうと思っていたために、この聞き覚えのない表現には強い違和感を感じた。
方言とは人の生まれ育った土地の影響を受けて形成されたアイデンティティの一部だと私は考えている。会話の中で、同じ、または近い方言を話す者同士であれば同郷だという親近感を感じ、違う方言を話す者同士であればお互いの生まれ育った環境の違いを感じる。このように、方言は会話の中で「自分は~出身だ」と直接的に伝えることなく、自分のバックグラウンドをほのめかすものである。
また、方言にはこんな性質もある。それは、方言はうつってしまうものだというものだ。先程、私は日本人学校で標準語スピーカーに囲まれながらも関西弁を貫いていたと言ったが、厳密に言えば、たまに会話の中でとっさに「そうだよね」と返してしまうことがあった。その度にそれが自分の意思と反するものであったために軽く嫌悪感を抱いていた。また、先日、関東圏出身のある同回生の部員がこう話していた。「私最近、関西弁うつってきたんだよねー。地元に帰ったら結構言われるんだー。」と。私にしてみれば彼女が話す言葉は思いっきり標準語である。しかし、本人曰くうつってきているらしい。つまり、長年自分に根付いた方言があっても、一定の時間を異なる方言を話す人と過ごすことで、その人の話す言葉は変化するものらしい。もちろん、それには本人の意識の程度によって個人差はあるだろうが、無意識のうちにうつってしまうものであるようだ。
結論として、方言とは人が生まれ育った土地を反映したものであり、加えて、それは環境次第で自分の話す方言が確立されてからでも変化しうるものだ。それを勘案すると、改めて方言にはその人の人生、生まれ育った土地だけでなくその後の環境が反映されている点において、方言は話者のアイデンティティの一部を形成するものだと言えるだろう。そして、先程も話したように、私は自分の話す関西弁に誇りを持っている。私の話す関西弁が強いとよく言われるのだが、それは関西弁を大事にしようとする気持ちの表れかもしれない。方言に誇りを持ち大事にすることと方言が強くなることは別問題かもしれないが。
改めて振り返ると、恥ずかしいぐらいしょうもなく、当たり前なことを再確認している文章である。しかし、別にこの文章に特にメッセージ性を持たせるつもりはなかったので良しとしよう。強いて言うなら、ここまで付き合っていただいた皆さんにも自分の話す方言を大事にしていただければ良いなと思う。
そろそろ自粛期間が明けそうだ。活動再開が待ち遠しい。早くあのグラウンドでみんなとサッカーしたいなー。
3回生プレーヤー 山根健太郎