【部員ブログ】拝啓
最後の部員ブログということで何について書こうか悩んだのですが、絞り出したいくつかの題材の候補はどれも筆が進まず、趣向を変えて今回は自分に向けた手紙を書こうと思います。
今の自分に向けて、今の自分が手紙を書きます。
変ですよね。
昨年の部員ブログの末尾で、「読んでいる人を退屈させない面白い文章を書けるようになりたい」と書きましたが、おそらくそういう類のものとはかけ離れたものになりそうです。
とまれ、しばしお付き合いください。
拝啓、22の自分へ
君の人生は向上心とともにあった。なんてのは幻想だった。
小さい頃から君はその言葉が好きだった。君はそれが自分のアイデンティティであるとさえ思っていた。もとより運動にも勉強にも生まれ持ったものが特になかった中で、挫折も多くあったが、向上心がいつも活路を見出してくれた。勉強でもサッカーでも、少しばかりの向上心を持つだけで簡単に、同学年・同年代の中でそれなりの位置にいることができた。そんなぬるま湯に浸かっていた。
君は大学でサッカーをする中で、自分のアイデンティティが大海では小波に飲まれてしまう程度のものだったと気付くことになった。自分がやってきたサッカーは、楽しいからやっていただけのただの時間つぶしに等しいことを思い知らされた。
大海に溺れながらも、君はサッカーを続けた。チームメイトや対戦相手の選手のプレーを見て劣等感に苛まれながらも、サッカーを続ける決断をした。自分自身に何度も失望させられた。自分を信じてあげられなくなったこともあった。それでも、上には上がいて誰もがいつかは負けてしまうこの世界で、昨日の自分にだけは勝ち続けることができると信じてやってきた。
今君は、大学でのサッカーが残り数か月という場所にいる。競技としてのサッカーはこれでおそらく最後だろう。
後悔ないようにやれているか?
その努力は十分だと胸を張れるだろうか?
もっとやれるんじゃないか?
君は時に、結果が出ないと自分の可能性に蓋をして歩みを止めてしまうことがある。君の悪いところだ。君自身も気付いているだろう。そんなことをしている暇はないんじゃないか?残り数か月、やってやれないことはないんじゃないか?引退までの時間は短くて長い。やれることはすべてやれ。最後の1秒まで走り続けろ。君の人生は向上心とともにあるのだから。
どえらい真面目な内容になってしまいました。私が入部した当初の部員ブログって、思いついたダジャレを並べてそれぞれ解説していくみたいなフランクなものもあったように記憶しています(笑)。私がこんなくさいことを考えて生きていることは、きっと同期の人らも知らないでしょう。自分にあてた手紙を読まれるのは少し小恥ずかしい気もしますが、ウェブ上に今の自分のログを残すということで、これを私の最後の部員ブログにしたいと思います。最後までお読みいただきありがとうございました。
4回生プレーヤー 上内博貴