【部員ブログ】そんな自分は幸せ者
森七菜の「スマイル」で今日も目が覚める。
カーテンを開き、窓を開けると一斉に蝉の鳴き声が押し寄せてくる。
蝉たちの朝は早い。
それもそうか、多くの時間を地中で過ごしてようやくたどり着いた地上の世界、うかうかしている暇なんてないか。
目をこすりながら、散らかった部屋を進む。
キッチンにたどり着き、食パンをトースターにセットする。その間にバナナをカットし、焼けた食パンに並べ蜂蜜をかける。今日も無事うまい。
一人暮らしの朝はだいたいひとり。もう慣れた。最初は少し寂しさもあったけど。
シャワーで目を覚まし、今日も部活へ向かう。
自分は京都大学サッカー部に所属している。受かった時にはすでに入ると決めていた。どんな集団であり、どんな活動をしているか、あまり調べずに。
その選択は正しかった。
だってこんなにも素晴らしい仲間に出会えたのだから。偶然に偶然が重なって、日本全国から集まり、こうして今一緒にサッカーをしている。
もし志望校を京大にしていなかったら、もし浪人せずに他の大学に行っていたら、もし試験本番にあの問題が解けていなかったら、もしそもそもサッカーをやっていなかったら。どれか一つでも当てはまれば今はない。こう考えると人生って何もかもが運命だと感じてくる。
この先起こる良いことも悪いことも、全て運命。
一度きりの人生において起こる出来事なんて全部未知の領域。
数えきれないほどの選択をして今がある。今をもっと味わわなければ。
そう思うとなんていうか、気持ちが楽になる。過去も未来も、そして今も全て受け入れられる気がする。
それこそが自分という人間だから。他人がどうこうじゃない。
そんな自分は幸せ者だ。
何不自由なく今に至り、環境にも恵まれた。一番はやはり家族のおかげだ。
幾度となく迷惑をかけた。特に中学高校の頃の自分は変なプライドを持っていた。
それでもそんな自分をいつも家族は優しく支えてくれる。ありがとう。
これらに気づくのに少し時間がかかってしまった。
今までの恩は様々な形で返していきたい。
そのうちのひとつが大学サッカー。
スポーツをしている人はかっこいいと自分は思う。ただ全力を尽くしている人に限る。
テレビでみるスポーツ選手の姿には心を動かされる。オリンピックに限らず、甲子園や箱根駅伝、選手権での涙のロッカールームとかは特にだ。
スポーツはあらゆる人を魅了する。スポーツには裏表がない。
スタジアムで、テレビの前で、スマホの前で、応援しているすべての人がその時だけはみな試合に夢中である。みなが一つのボールを目で追っている。
たとえ次の日に試験があろうと、課題の締め切りが迫ってようと一時的にスポーツにのめりこんでしまう。
そんなものこの世にスポーツ以外存在するだろうか。
そんな素晴らしきスポーツで、自分の場合はサッカーで少しでも恩を返したい。そのためにも日々自分と向き合い、大学サッカーで結果を残したい。
たった4年の大学サッカー。時間は限られている。
うかうかしている暇はない。最後の1週間の生を地上で全うする蝉のように、サッカー人生の集大成として大学サッカーをやりきりたい。
2回生プレーヤー 森山翔太