【部員ブログ】サッカー人生を振り返って
こんにちは。農学部応用生命科学科2回の田中雄大です。
今回ブログを書くにあたって、少しばかり人生を振り返ることにしました。
人は様々な場面において、無意識的にあるいは有意識的に2つ以上ある選択肢の中から1つのみを選ぶことで、人生を形成している。1つ選ぶということは他の選択肢を捨てるということでもあり、やり直すことは不可能だと言っていい。その選択をするために長い時間を費やす人もいれば、思いつきや直感で即座に決断する人もいる。その選択をしたことで上手くいき幸せになる人もいれば、失敗だったと後悔することもある。このように、その大小によらず一つ一つの選択が人生に大きな影響を及ぼすということは誰しもが実感してきたことであろう。
私も生まれてからの20年の中でたくさんの決断する経験をしてきた。それらの経験の中でも特に(サッカーの面で)影響の大きかった選択、決断は中学→高校の進路選択だったと思っている。(まあこれが選択と言えるのかは置いといて…)
4歳か5歳のときに友人の誘いがきっかけでサッカーを始め、中学生まで、地元のクラブチームでサッカーをしていた。野球一筋だった父には申し訳ないが、サッカーを選んだことははっきり言って正解だったと心底思っている。小中学校時代は技術の高いチームメイトや素晴らしい指導者に出会って共にサッカーしてきたため、中学時代には滋賀県選抜になるなど、知らず知らずのうちにそれなりの実力を身につけることが出来た。
そして高校選択。勉強もそれなりに出来た私は滋賀県随一の進学校である膳所高校へ進学した。この際、私はサッカーの強豪校に行きたいという気持ちは残念ながら微塵もなかった。というか、この高校選択をそれほど重要視していなかったし、自分が膳所高に行くのは当たり前だと考えていた周りに流されて、強豪校に行くという選択肢を用意すらしなかったのである。
クラブチームのチームメイトや県選抜で知り合った選手たちの多くは、サッカーの強い高校、その後も大学の強豪校に進学していった。厳しい競争を勝ち抜こうともがき、着実に実力をつけていた。一方私は、大してサッカーの強くない膳所高であれば通用するだろうと傲慢な気持ちでサッカー班に入ったが、当然現実はそう甘くなかった。通用する部分よりしない部分のほうが圧倒的に多く、自分の実力がこんなにも足りていないのかという悔しさを感じ、今までチームメイトに頼り切っていたことを思い知り、1人では何も出来ない無力感に苛まれた。入部してしばらく経っても何だか上手くなっている気がせず、むしろ下手になった気さえした。
こうして壁にぶち当たった私と彼らとの差は開くばかりで、時々出会う、成長した彼らを見る度に大きな刺激を得ると同時に悔しさや羨ましさ、劣等感を強く抱いた。自分なりにもがいてみるものの、結果は出ない。自分は頑張っているのにどうしてだと嘆いた。挙句の果てに、成長しないのは周りの環境のせいだと投げやりになり、「コーチがいればなぁ」とか「グラウンドがボコボコの土じゃなくて人工芝ならなぁ」とかとないものねだりばかりするようになった。サッカーの強豪校に進めば、実績のある指導者のもとで、上手いチームメイトたちとの競争を経験できるなど、膳所高にはないサッカーに集中できる環境が揃っていて、ある程度の成長は保証されると思っていたからだ。そういう点で、膳所高を選んだのは間違いだったのかもしれないと少し考えるようになった。
しかし、しばらく経って、この考え方はただの現実逃避に過ぎないのだと気付き、自分の甘さ、傲慢さを恥じるようになった。サッカーをする上で、恵まれた環境はあくまでも成長する可能性を大きくするものであって、決して成長のための必要条件ではなく、十分条件でもないのだと考えるようになった。環境の悪さなどに屈せず、強い向上心と謙虚な姿勢をもち、行動に移せる人こそ、成長できるのだと気づくことが出来た。
こう考えられるようになってからは、誰よりも向上心をもって、より真剣にサッカーと、そして自分と向き合った。より良い環境でサッカーしている奴らよりも成長して見返してやろうという前向きな気持ちに変わった。少しずつ結果も出始めて、成長を実感出来るようになった。
しかしながら、高校生活の間には、見返してやるという目標を達成できなかった。だから、大学でもサッカーを続けることにした。もっと成長したい、高みを目指したいという気持ちに突き動かされた。
あのときの選択は正しかったのだろうか。もしあのとき違う選択をしていれば、今ごろどうなっていたのだろうとしばしば想像する。厳しい競争に揉まれてみたかった、自分の実力がどこまで通用するのか試してみたかったと思うこともある。
それでも、そっち選んどきゃよかったと後悔したことは一度もない。この選択をしたからこそ、挫折も経験したが、サッカーや自分自身との向き合い方も大きく変わったし、今の自分まで成長できたのだと思う。
ただこの選択が本当に正しかったのか、その答えは大学サッカーを終えてようやく出せるものだと考えている。選択をしたのは紛れもない自分なのだから、その判断に責任を持たねばならない。胸を張ってこの選択は正解だったといえるように、とことんサッカーを突き詰めて、さらに成長し結果を残せるよう励みたいと思う。
長くなりましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございました。
2回生プレーヤー 田中雄大