【KIU BLOG】リマインダー
自転車が壊れた。
3年以上愛用していた小径自転車。周りからは不評だったがデザインを気に入っていたのに。自転車屋に行って修理をお願いすると修理するより新しく買った方がいいと言われた。万年金欠の大学生にとって自転車を買い換えることは大きな決断だ。とりあえず保留だ。同期の高身長に借りパクされたもう一つの自転車を取り返すことにしよう。この壊れた自転車は気に入っていたけど置いていても邪魔だし、回収してもらうか。
そんなことを考えながら、サッカー漬けの毎日もあと約2ヶ月後には確実に終わることに思いを馳せた。
2ヶ月後に確実に終わるというのがこの自転車と違うところだ。
長年親しんだサッカーも本気でやるのはこの2ヶ月で最後。そうして今までの自分のサッカー人生を思い返す。
まず思い出すのは良い思い出ばかり。小学生のサッカー少年団では大雨の中で出場したマクドナルドカップで決勝ゴールを決め、初めてMVPをもらったこと。あの時もらったマクドのポテト無料券は嬉しくて使わなかったらどこかに行ってしまった。高校ではリーグ昇格のかかった首位攻防戦でゴールを決めて勝利し、みんなと喜びまくったこと。あれは最高だった。最近では、ホームでの学生リーグで2アシストしてチームの学生リーグ初勝利に貢献できたこと。チームに貢献できていないと感じていた自分にとってこの試合は本当に嬉しかった。
何かのきっかけでふと思い出し良い気分になる、そんな最高の瞬間は鮮明にシーンを覚えている。本当に嬉しかったからだろうか。
でもここでうまくいかなかったことを考えてみる。
すると、書き切れないほど多く脳裏に浮かんでくる。自分のサッカー人生は良かったことよりも嫌だったこと辛かったこと悔しかったことの方が当然多い。まあ本気でスポーツしている人のみんながそうなのだろう。
でもやっぱりふと思い出すのはいい思い出ばかりでその体験が強烈すぎて辛かったことなんか忘れてしまう。やっぱりサッカーは楽しい、そして自分の人生を最高に彩ってくれている。
だから結局サッカーを諦めきれず、サッカー部に入部した。
そして大学サッカーは、このチームは、今までにないさまざまな経験を与えてくれた。その経験が自分を成長させてくれたと思う。散々迷い、回り道をして入ったこのチームには本当に感謝しかない。
最後の本気のサッカーになるこの2ヶ月は確実に自分の、そして同期のみんなの記憶に残るだろう。自分がおっさんになって何かのきっかけで、たとえば自転車が壊れたりして、ふと今を思い返した時、自分はあのときやれること全てを出し切ったと誇れるように、そして二部昇格を成し遂げたという最高の記憶でみんなが前向きな気持ちになれるように、今を全身全霊で楽しみ、走り抜けたい。
やっぱり、昇格までこの自転車は捨てずにこのまま置いておこう。壊れた自転車が将来、最高の記憶を思い出させることを願って。
4回生プレイヤー 小林周平