【KIU BLOG】勝ってなんぼ
今年も部員ブログが回ってきた。私はこのブログが好きだ。部員の情熱や野望が伝わってくるし、たまによく分からないことを書く人もいて読んでいて面白い。では自分は何を書こう。昨年のブログで過去を語った。ユニークな話題は思いつかない。ということで、今年は今思うことを書こうと思う。

ここ2ヶ月はとても濃密な時間だった。新人戦で私は副将に立候補し、責任ある立場に立った。戦術決め、メンバー選考、練習メニュー考案。FIFAのゲーム内でしかやったことのなかったことを経験し、視野が広がった気がする。特に戦術決めとメンバー選考は難しい。「あいつは納得してないやろな」とか、「これでやる気無くしちゃったらどうしよ」とか。色々と考え出すとキリがなくなる。
楽しみな気持ちよりも不安と緊張が上回る中、初戦を迎えた。2-4。初陣は失敗に終わった。落ち込んだ。勝ちに固執していただけにショックも大きいものだった。すぐに学生リーグの期間となり、トップチームの練習が始まったことで、強制的に気持ちは切り替えられた。2戦目はただ祈ることしかできなかったが、みんなに助けられなんとか望みを繋ぐことができた。
そして迎えた信愛、大国戦。副将としてできたことは、声を出し続けたことくらい。結局、自分はチームを救うプレーができず、仲間に助けられただけだった。でも、心の底から勝利を喜べた。
ゴールを決めたヒーロー。雄叫びを上げるピッチ上の選手。全速力で駆け寄るベンチ。ヒーローを迎え入れる応援団。ピョンピョン飛び跳ね抱き合うスタッフ。試合後、テスト勉強をするために行ったはずの図書館で何度も映像を見返した。会場にいた全員の反応を気が済むまで見ていた。他人のゴールをあんなにも見返したのは初めてだった。去年の自分ならチームの結果より個人の出来を気にしていたはず。いつからか私の中で個人とチームの優先順位が逆転した。

大人になったのかもしれない。
「大人な人」という言葉があるが、他人への配慮があり人や社会のために行動できる人に使われる言葉だ。私の周りにもこの「大人な人」が存在する。例えば私の両親。私のために数多くの助けをして支えてくれている。スタッフもそうだ。チームが勝つため、チームが円滑に回るため、考え、動き、そして支える。ものすごく大人な方々で欠かせない存在である。また、以前こんなことを言っている仲間もいた。
「自分は100%チームのためにサッカーをしている」
直接こう言ったわけではないが要約するとこんな内容だった。これは彼がチームを去る時に話した内容の一部。正直この時は全く理解ができなかった。子供が理解できるものではなかった。確かに彼は練習前の準備も率先してやっていたしメンバー外でも本気で応援していた。部活を辞めた今でもなお、グラウンドへ来て応援してくれている。彼は大人な人だ。このような人は希少であり、とても尊敬できる。
私も齢二十になった。少しは大人になる必要があるのかもしれない。フォワードとして個人の結果にはこだわる。毎試合ヒーローの座を狙い続ける。でも、あくまでそれはチームの勝利があってこそのもの。自分のため以上にチームのために。

新人戦は決勝トーナメント初戦で終わった。1-6の完敗。jユース出身も世代別代表も強豪校のキャプテンも相手にはいたらしい。高校でサッカーをやらなかった落ちこぼれの自分にとっては良い経験になったのかもしれない。貴重な成長の機会となったのかもしれない。
でも悔しかった。経験などいらないから勝ちが欲しかった。相手は同じ大学生。戦っているのは経歴など関係ない、フィールド上での点取りゲーム。入試と一緒。その場で勝った者が強く、喜びを享受でき、次へと進める。そしてサッカーでは、『者』とは個ではなくチームだ。これは揺るぎない事実。
プロとしてサッカーと向き合っていくなら個人戦、という見方もできるかもしれない。でも少なくとも私は違う。私にとっては京大サッカー部の4年間が集大成であり、その後は続ける気がない。このチームで勝ちたい。チームが勝つことで自分自身、チームメイト、両親、スタッフ、観客、そしてあの仲間にも喜びを届けられる。それこそが今の私にとって最高の幸せだ。私自身の成長のために試合があるのではない。試合で勝つために私自身の成長がある。反省、改善、努力。プレーも振る舞いも思考さえも。すべては愛するこのチームの勝利のために。

2回生プレイヤー 戸村允是
