【部員ブログ】取捨選択
京都大学農学部資源生物科学科2回の吉岡俊輔です。
僕は京都市生まれ京都市育ちなので、もうかれこれ20年近く京都に住んでいます。普段通る道、訪れる場所の多くは小さい頃から知っているので、たまに無性にどこか遠くの見知らぬ土地に行ってみたくなりますが、ケチで面倒臭がりの性格なので、そんな計画を実行に移せるわけもなく、悶々とした気持ちを心の片隅に抱えながら過ごしています。
他の部員は他県から来ている人ばかりなので、しょっちゅう京都の文句を言われます。夏は蒸し暑くて、冬は底冷えがひどいとか、思っていたより田舎だとか。この辺はいわれるのは想定内でしたが、意外にも水道水がまずい、飲めたものじゃないと多くの人に言われます。
いろいろ言われていますが、京都はきれいな街だと思うので、ぜひ訪れてほしいと思います。
最近、サッカーの試合を見ている中で、選手のコンディションやパフォーマンスレベルを計測する最新機器が発達した影響で、サッカーのテレビ中継の間に、選手の走行距離、スプリント回数、チームのパス成功数、タックル成功数などの情報がリアルタイムで視聴者に表示されるようになった。こうしてみるとサッカーの試合中のリアルタイムで計測できる情報量は、一昔前とは比べものにならないくらい増加している。
そして、プロのクラブには、そのような無数のデータ、情報を分析する分析官がいる。プロの試合では、分析担当の専門家が観客席にずらりと並んで逐次、試合状況の詳しいデータをとり、分析して監督に伝える。実際に分析官たちの働きはクラブの勝利のために必要不可欠なものになっている。
サッカーにおける情報量の急増はプロの世界だけでなく、大学サッカーの世界でも起きている。資金力のあるチームなら選手の心拍数、走行距離、瞬間スピードが計測できる機器をそろえているだろうし、そうでなくても、いまやほとんどのチームが試合や練習の映像をビデオで撮影している。大学サッカーにおける情報量も確実に増加してきている。
ただし、京都大学サッカー部には、プロの分析官なんていない。膨大な情報から、勝利のために必要なものを的確に抽出し、修正を加えてくれる分析官には、選手自身がならなくてはいけない。
最近では戦術に関しての書籍や動画が多数あるので、サッカーの知識を個々人がつけることは可能だが、やはり実際の試合の中から重要な要素だけを取り出して、修正をくわえるとなると難しい。
例えば、自分のチームがうまく機能していないときの試合の映像を見て、チームが勝てるように修正を加えなければいけないとする。試合の映像にはうまくいっていない原因のすべてが写っているはずである。しかし、サッカーは22人もの競技者と審判の相互関係で主に決まるスポーツなので、そのすべてを収めている映像は当然とてつもない情報量をもつ。その中からうまく機能していない原因を拾い上げて修正するのは高度な洞察力が必要になる。
ぼんやりと画面を眺めているだけでは何が起こっているか絶対にわからないだろう。慣れない内は、自分の中で何か一つでもいいからテーマを決めて、例えば相手のプレスのかけ方だったり、味方の中盤のポジショニングなど、そこに集中して試合を見るようにしてみたりすれば、何か見えてくるものもあるかもしれない。
いずれにせよ、一朝一夕にできることではない。それほどに膨大な情報を持つものから必要なものを抜き出すということは難しいことだと思う。
そして、情報量が爆発的に増加しているのは、何もサッカーに限った話ではない。
科学技術の発達、ネットの普及などによって、現代社会にも情報があふれかえるようになった。このような状況下では、人生において大きな選択を迫られる時、判断材料となる情報が多すぎてどうすればいいかわからなくなることが出てくる。これまでも、高校時代に志望校を決める際には、いろいろな大学のホームページを見たり、実際にオープンキャンパスに行ったり、各大学に進んだ先輩や先生の話を聞いた結果、結局どこに進むべきか、迷った経験がある。
しかし、人生においては、当然ではあるが、分析官なんていない。
自分でその膨大な情報の中から、大事なものを抽出し、最適だと思うものを選ばなければいけない。この行為はとても勇気がいるが、近い将来必ずしなければいけない時がやってくる。
そのときが来ることをしっかりと自覚して、日々の生活の中で、自分をしっかりと磨いておきたいと思う。
2回生プレーヤー 吉岡俊輔