【部員ブログ】マブヤー
いつ、どこで、落としてしまったのだろうか。
サッカーは好きだ。
かっこいいなぁと、憧れた。
今年でもう10年目になる。
相変わらずボールとは友達になれない。喧嘩ばっかり。それほど仲がいいのか。
やっぱり楽しい。
でも、楽しいだけでは許されない。社会が、周りが、何より、自分自身が求めてくる。
楽しいだけじゃだめだと。勝ちなさい。ヒトの支えに感謝しなさい。環境に感謝しなさい。もらったものを誰かに分け与えなさい。
もともと人の役に立つことが好きだった。
だから、そんな義務感も、嫌いではなかった。
いつからだろうか。楽しさがなくなったのは。
ただ、胸が痛かった。
サッカーをするたびに、自分のことが嫌いになっていく。本気になればなるほど、自分の感情に負け、自分の無力さを知り、醜さに気づき、他人を羨んだ。
誰かに何かをあげるどころか、いろんなものを奪っていく。
勝手に憧れ、自分に期待し、裏切られ、何度もつまずく。全部、一人芝居。
優しさを受け取り、苦しさに変換して、違う誰かに返していく。
ひどく、醜い。
サッカーをするたびに、自分が嫌いになっていく。
何も知らない彼らの人生。何もできないくせに、勝手に割り込もうとする。
自己欺瞞の、繰り返し。
もう、わからない。憧れに近づくために、サッカーに向き合っている。
向き合うたびに、遠ざかっていく。
自分の中で大切にしていたものを、少しずつ失っていく。
もうあとどれくらい残っているだろうか。
もう空っぽだ。
憧れたのは、サッカーに全力で、楽しそうな人だった。
そうありたかった。
あの時のワクワクも、もうほとんど残っていない。
ただの抜け殻。
それでも、やっぱり。
ボールを蹴っているとおもいだす。
抜け殻が、のこっている。自分ではどうにもできなかった。
ようやく、なくなってくれた。
大事なものも一緒に、落としてしまった。
拾いに行かなければいけないか。
いや、たぶんいつか、追いついてくるだろうから。
だから、それまでは。
ゆっくりと。
4回生プレーヤー 當銘優雅