【KIU BLOG】今に全力を
最近社会人と話す機会が多い。話題は様々であるが、毎回自分が社会人になるまでにやっておくべきことは必ず聞くようにしている。目の前にいる百戦錬磨のサラリーマンが如何にして今の自分を築いたのかを理解するために、月並みの質問であるが必ず投げかけている。しかし、何か具体的な指示をもらったことは一度もない。資格のことも、語学のことも、何も言われない。全員口をそろえて「学生のうちにできることをとにかくやりなさい」と言っていた。老若男女、どの業種に就いている人も必ず全員この言葉を返してくる。最初のほうは、「またこの回答かよ」と思い、自分の中であの言葉をかみ砕くことはなかった。しかし、何回も言われるとちょっと考えるようになってきた。
自分はもう、1か月後には「京大サッカー部4回生アナリスト」という身分を捨てることになっている。さらに、半年後には「学生」という身分を捨て、社会という名の大海原に一人で出ていく。大学生として、京大サッカー部の一員としてできることやそれを謳歌できる時間はもう限られている。学生でいられる時間が限られていると実感する今、あの社会人たちの言葉が、なぜ抽象的でありながらも真理だったのか、痛いほどわかる気が する。
毎朝9時に起きること。タイヤが中途半端にペコペコなチャリに乗ってグラウンドに向かうこと。何時間も練習を見ること。深夜になっても他のアナリストと一緒に毎週50ページ以上の資料を金曜日までに作ること。全チームのデータをGoogle Sheetsに記入すること。複数の県境を跨いで2週間先の対戦相手の試合に偵察に行くこと。やっているうちはしんどくて、無味乾燥に感じることも多くて、特別感が得難い作業も、1か月後にはもうやっていない。どうせもうやめるのなら、もう力を抜いて静かに引退すればいいんじゃないかと考える人もいるかもしれない。論理的に考えれば正直それも一つの筋の通った考え方だと思う。けど、そんなの味気ないし、選手を引退してこのアナリストという役職に全力を注ぐと誓った2年前の自分に嘘をつくようなことは絶対にしたくない。
となると、私が引退までやるべきことは、とにかく目の前のことに全力を注ぐことである。非常にありふれた回答ではあるが、正直今の自分にはこれしか残っていないと思う。スカウティングも、練習も、リアルタイム分析も、もっと拘りを持って取り組みたいし、何より妥協することは絶対に考えたくない。もうやれる回数が限られているのなら、京大サッカー部に在籍しているうちにできることは全力で取り組みたい。
でっかい爪痕を残して、次のステージに進もう。

4回生アナリスト 新谷和也
