【KIU BLOG】歴史
歴史というものは、実に面白いものであると思う。誰かがその史実を書き残したり、言い伝えたりしない限り、後世にまで残ることはないし、どの史実が後世にまで残るかは分からない。そんな曖昧なフィルターにかけられながらも、現在に至るまで途切れることなく紡がれてきた史実の結晶を、私達は歴史として見ているのである。しかし、この歴史という仕組みが素晴らしいのは、歴史を知るだけで、自分1人だけではこの先経験することの出来ないようなことを知った上で、この先の人生を歩めるということである。

私は、愛するマンチェスターユナイテッドにはもう少しこの歴史に学んで欲しいと思う。ここ十数年、プレミアリーグを見てきて、明確に、イングランドのフットボールは変わったと言える。幼い頃から見ていたイングランドのフットボールは、ディフェンスラインには屈強なファイターがいて、中盤は激しくダイナミックで、前線には様々なタイプのゴールゲッターがいる。そんな息つく暇の無いような、激しく大味な試合が繰り広げられていたような気がする。そんなフットボールが好きだったが、ある時、イングランドのフットボールは変化してしまった。マンチェスターシティにペップ・グアルディオラがやって来たのだ。バルセロナ、バイエルンで彼がやって来たことをイングランドに持ち込んだのである。そこからは言うまでも無いが、マンチェスターシティは、ボールを握り、相手をピッチの半面に閉じ込め続け、ゲームを支配し、安定的に勝ちを収めて行き、幾度となく偉業を達成していったのである。ペップボールは、あまりにも鮮烈で、支配的で、圧倒的であったために、イングランドのフットボール界を大きく変えたのである。マンチェスターシティが大きく変わったのは、ペップのサッカー観へのチームとしての厚い信頼とそれに向けてチーム全体で取り組んだからだと思う。この「チーム全体」というものの為に、ジョー・ハートやヤヤ・トゥーレのような、それまでの主力選手が見切りをつけられているというのも非常に重要なことであると思う。これまで、ペップの話ばかりであったが、ペップシティでなくても、チームが同じものを志し、チームとしてそこに歩み出した時、チームは大きく変わると思う。

おそらく、サー・アレックス・ファーガソンのマンチェスターユナイテッドも、アーセン・ヴェンゲルのアーセナルも、ジョゼ・モウリーニョのチェルシーもそうだったであろう。一方、マンチェスターユナイテッドの現状はどうであろう。テン・ハグ前監督の下、2つのトロフィーこそ獲得したものの、チームが何を目指しているのかが判然としないまま、長続きせずに終わった。そして、アモリム監督を招聘し、チームの変革を託した。現状、目に見えて良くはなっていない。しかし、アモリムのサッカー観はだいぶ見えるようになってきた。ここで、いかにチーム全体でアモリムボールをブレずに信頼し、それを実行に移せるかが鍵になると思う。これは生半可な気持ちではできないことであると思う。世界中に大勢のファンが居て、常に注目を浴びるチームではあるが、リスクを背負ってでも、そこに向かってやり切る価値はあると思う。そして、その先に再び栄光があると信じたい。

ユナイテッド程のことではないが、自分が大学サッカーで成し遂げたかったことは似たようなことであると思う。それまでの自分達の立場を変えるような大きな変化を生む為に、自分達の理想のサッカーを掲げ、チーム全体でそれを目指し大胆に戦う。しかし、それを自分の力で達成することはもう出来なさそうである。原因を考え出すと、いくらでも思い浮かぶ。チーム全体で取り組めていたのか。目指している方向がブレていなかったか。実行に生じる問題に適切に取り組めていたのか。リスクに怖くなってしまわなかったか。ただ、この失敗をただの失敗にするか、必要な歴史にするかは今後の自分とその同志にかかっていると思う。
私は、どんな逆境でも、ブレずに粘り強く、マンチェスターユナイテッドのように這い上がって行きたい。
四回生プレイヤー 武田遥
