【KIU BLOG】一念発起
高3の春、引退。完敗だった。自分たちの数倍速くて強かった。この試合に懸けてきたのに、絶対勝てないと思った。やりきったような悔いが残るような、これが人生最後の部活なんだろうなあと思った。
それから浪人生活も経験したし、2年間サッカーをしなかった。2度目の京大2次試験を終えた数日後、高校のチームメイトとピースウイングでサンフレを見に行った。ただひたすら机に向かった1年間。この1年まともに運動もしてないのに、ゴール裏のサポーターズシートで必死に跳ねた。この1年人とまともに会話もしてないのに、声が枯れるほどチャントを叫んだ。気づかないうちに心が熱くなっていた気がする。久しぶりにあのブワッとする感じを思い出した。もうサッカーはいいやと思っていたのに、なんだか無性にサッカーがしたくなってきた。京大に受かっていたら絶対サッカー部に入ってやろうと思った。親にも声高らかに宣言した。
結果合格だった。気が引き締まった。迷わず練習参加した。でもなんかいまいち上手くいかなかった。小学校ぶりのナイター練習はボールがよく見えない。周りのみんなが上手い。体が動かない。というか自分がどういう風にサッカーしていたのかも分からなくなった。
絶対入部すると決めていたのに、迷いが生じた。
この先やっていける気がしなくて、ものすごく悩んだ。高校の先生にも相談した。授業中は先輩のブログを熟読した。その週末のTOEFLは、どうしたら良いプレーができるだろうか、サッカー部に入ろうかどうかを考えながらただひたすらに選択肢「A」だけを塗りつぶしていった。でも、もう一度本気でサッカーをしたいという気持ちが消えることはなかったし、これだけ熱くなれるのは大学の部活が最後だと思った。これから先、本気でやってやることに決めてみた。
入部してからこれまでの数ヶ月は結構苦しかった。体が上手く動かないし、良い判断ができない。初めてやるポジションに戸惑い、ボールロストもしまくった。今でも忘れられない練習がある。ターンしては奪われるし、ダイレクトで後ろに返すパスもズレまくった日、マジで悔しかった。でも「最初は誰でもミスは経験するもので、最初から完璧な選手はいない」とコーチにフォローしてもらった。バックの先輩が練習後アドバイスしてくれた。それにものすごく心が救われた。同時にこのチームのために一生懸命努力しようと思った。
最近読んだ本で印象に残った一節がある。
「追い込まれた状況から成長していくのが大好き。そして必ず這い上がれるという根拠のない自信がある。『この環境はきつい』と感じるときが一番ワクワクします。『チームの中で自分が一番ヘタクソな存在かどうか』。流通経済大学も、川崎フロンターレも、スポルティングも、こういう基準で選びました。」 (『ずる賢さという技術』守田英正)
今の自分は上手くいかないことだらけで、チームのポジションの中でも一番ヘタクソで、しんどいと思うときも正直ある。でもだからこそどうにかしてやろうと思うし、毎日試行錯誤する中で分かったことも増えてきた。頭を使って目の前の一つ一つの練習を大切にしていけば、何の根拠もないけど自分だって上手くなっていける気がしている。小3から始めたサッカーノートももう一度書き始めた。大学生活を懸けて、闘う覚悟はできた。
1回生プレーヤー 石濱颯大